note

Emi
Kurisaki

えみさん

栗﨑 恵実
大学卒業後、大手メーカーや株式会社リクルートホールディングスにて商品・サービスや企業の広報PRに10年以上従事。2018年よりフリーランスライターとして活動を始め、人物インタビューを中心とした記事の編集・執筆の他、企業のプレスリリース作成にも携わる。2023年4月に株式会社スマイルバトンにジョイン。

親のまなざしと先生のまなざし、
その架け橋を作れたら

親のまなざしと
先生のまなざし、
その架け橋を作れたら

栗﨑 恵実
大学卒業後、大手メーカーや株式会社リクルートホールディングスにて商品・サービスや企業の広報PRに10年以上従事。2018年よりフリーランスライターとして活動を始め、人物インタビューを中心とした記事の編集・執筆の他、企業のプレスリリース作成にも携わる。2023年4月に株式会社スマイルバトンにジョイン。

効率より、大切にしたいこと

えみさんとスマイルバトンはどう出会ったのでしょうか。

私のキャリアを少し遡ると、新卒で大手メーカーに就職し、マーケティングや企業広報、製品PRなどを経験した後、同じ広報職でリクルートホールディングスに転職し、メディア対応を中心としたコミュニケーションの仕事に従事してきました。リクルートにいた4年の間に、長男の出産やいろいろなきっかけがあって、会社員という働き方を変えようと思い至り、2018年にフリーランスのライターになりました。

スマイルバトン代表のなおさんとは、リクルート時代に出会っています。当時、リクルートでは年に1度、グループ各社の広報が集まる研修があって、グループワークで同じ班になって初めて言葉を交わしました。なんだか堂々としているかっこいい人だなぁという印象を持つと同時に、妙な親近感を勝手に抱いていた気がします(笑)。ただ、仕事では複数回取材で一緒になる程度であまり親しくなる機会もなく、私がリクルートを退職するタイミングでランチに誘ってくれて、初めて仕事抜きでいろいろな話をしたことを覚えています。それ以後も、ときどきランチしながら、プライベートなことや仕事のことなどをキャッチアップし合うようになりました。

キャリアとしては長く企業広報をされていたんですね。

そうですね。最初の会社では、広報としてきちんと事実確認をすることや、文章に論理的な破綻がないか、言葉の選び方は適切か、どんなストーリーでどういう見せ方にしたらどんな風に社会で受け止められるかを想像しながらメッセージを作る編集的な視点など、ライティングのベースをものすごく鍛えてもらったなと思います。

リクルートでは、個人のWILL(意志)をすごく大切にする会社とあって、「あなたはどうしたいの?」と常に聞かれていました。最初は戸惑いましたが、もっと自由にありのままに、個を出していっていいんだよという空気の中に身を置けたことは、大きな財産になりました。

企業広報として歩んでいたえみさんがフリーランスになったのは、どういったきっかけがあったんですか?

長男が生まれた頃に、『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』という本を読んだんです。

人生100年時代になった今、自分の人生を柔軟に組み立てて生き方をデザインしようというメッセージが込められた本なのですが、それまで敷かれた道に沿って人生を歩いてきたような感覚があった私にとって、その本のメッセージがすごく響いて…。

いい学歴を目指すとか、大企業の正社員として働くとか、そういう世界観で親も自分も生きてきた。でも、そこに自分の価値観がフィットしない感覚が強くなってきていました。この本を読んだことで、「親の世代の価値観に縛られた人生を生きているかもしれない。私にとっての豊かな生き方って、どんなものだろう?」という問いが頭をもたげ、これがきっかけになって働き方を変えてみようと思ったんです。

どんなメッセージが響いたんですか?

本当に全て!なんですが(笑)、本を読んでから強く意識するようになったのは、人生の幅を広げることにつながる無形資産を作ること。そのメッセージは、私の場合、もっと地域との関わりを持つ意識になろうという具体的な行動に変換されて届きました。

そこから、町内会の役員や学校のPTA活動を引き受けたり、学校が募集するボランティアにも積極的に参加したりするようになり、ご近所のおばあちゃんから同世代のママさんまで、知り合いがグッと増えました。また、学校に出入りすることで先生方の働きぶりや子どもが過ごす環境がリアルに伝わってくるようにもなって、なんだか日々の景色が豊かになったような感覚があったんですよね。

私はもともと、余計なひと手間にちょっと幸せを感じる性格なんですが、育休から仕事復帰して、生産効率を追い求め続ける生活に心身がすり減っていくような気持ちもありました。なのでなおのこと、100年人生を自分でデザインしていくというメッセージに背中を押されたのだと思います。

余計なひと手間に喜びっていいですね。その人らしさやこだわりがあらわれますよね。

生産効率だけを求めると、誰かを応援するとか何かに共感するといったエモーショナルな部分が鈍感になっていって、心があまり動かなくなってしまうように思うんですよね。広報の仕事でも、思わず応援したくなるようなストーリーを丁寧に紡ぎ届けることを大事にしてきました。今後の人生においても、そうしたひと手間を大事にできる自分でありたいと思っています。

親になり『LIFE SHIFT』を読んで、大企業とかポジションとか、なんとなく手放せなかったものを手放そうという勇気に変わった時期だった気がします。リクルートを辞めて、フリーランスのライターを始めたと話したら、なおさんがスマイルバトンでも書いてくださいと言ってくれて。

スマイルバトンのビジョンや目指す世界観には、すごく共感していました。先生の学校が事業化する前からイベントに顔を出したり、HOPEの創刊号から書かせてもらったりしていたので、喜んで!という形で一緒に関わらせてもらい、業務委託契約を経て2023年4月にスマイルバトンに入社しました。

親の視点で見ても学びが満載

教育という分野でのお仕事は、スマイルバトンがはじめてですね。

はい。親になって、子どもが成長していくにつれて、この子が生きる未来はどうなっているだろうとか、この子が楽しく気持ちよく人生を生きるにはどんな力が必要なんだろうと考えながら日々子育てしていると、教育への関心が自然と高くなっていきました。

私には先生としてのキャリアはないですが、先生の学校が発信するコンテンツを親の視点でみてもすごく学びが満載だと感じるので、そういう視点でコンテンツ作りに関わりたいと思っています。

親という視点で、えみさんに響いたのはどんなお話だったんですか。

私自身の話になってしまいますが、昔から、なぜかどうしても自分に自信が持てなくて。自分の歩んできた人生に後悔は全くしていないし、むしろ私らしく過ごせる良い環境を考え、選んできてくれた両親には感謝しかありません。ただ、ゼロから自分で決断してきていないことへのコンプレックスがあるのか、新しいチャレンジをしようというタイミングでどうしても尻込みする自分がいることに、心地の悪さを感じてきました。

ずっとつきまとうこの感覚は、一体どこからきているのだろうか。そんな疑問をずっと抱いてきましたが、先生の学校を通して新しい教育の探究や先生方のチャレンジ、その思いやまなざしに触れて記事にまとめているうちに、自分のコンプレックスに対する答えにも出合ってきたように思います。テストで測れる学力だけじゃない部分の大切さや、子どもも同じ一人の人間として尊重し向き合う姿勢や声の掛け方など、親としてもすごく大切な視点に気づかされています。それらの気づきは、日頃の息子とのコミュニケーションの中でしっかり発揮させてもらっています。

本当にいいものを純度100%で

スマイルバトンの魅力はどんなことですか?

私にとってスマイルバトンは、愛があって共感でつながる場所かなと思っています。作品全てに、関わってくれている方々への深い愛とリスペクトが込められているし、やはりそうして作られたものには多くの共感が集まるなぁと感じています。

目立っていたりインパクトがあったりするものに注目が集まるけれど、本当は一人ひとりにちゃんとストーリーがあって。小さくても大きくても、その人にとっては大事なストーリーで、そういうものが積み重なって社会はできているよねって、企業広報をしていたときから思っていたので、そういう感覚を大事にできる環境がうれしいです。

忖度なく本当に「イイ!」と思った人や取り組みを取材して、お化粧なし、純度100%でコンテンツにしている。変な切り取り方もせず、ちゃんとその人の“まなざし”に焦点をあてて、丁寧に伝えようとしているスマイルバトンの姿勢がすごく好きです。

えみさんは主に記事の編集やライティングを担当していますが、印象に残っているお仕事はありますか?

以前、ある公立小学校の先生の葛藤と取り組みを紹介した記事を書かせていただいたことがありました。

長い取材時間をかけてありのままに話してくださったものを、丁寧にまとめた記事なんですが、これにすごく共感が集まっていたのが印象的でした。「優しい先生ってダメなの?」という悩みに長いこと向き合ってきて、精神医学などいろいろなことを学びながら自分なりの答えにたどり着いたという内容で、きっと多くの先生が同じように抱えている葛藤だったと思うんです。

こうして一人の先生の等身大のストーリーを記事にして、必要としている人にシェアできたことが、とてもうれしかったですね。

スマイルバトンで働いて、ご自身に変化はありましたか?

先生の視点に立ってコンテンツ作りをする中で、先生たちはこんな風に考えながら子どもたちと接しているんだ、こんなことに試行錯誤してくれているんだといったことがよく分かって、先生たちへの見方が良い方向に変わりました。こういう感覚を、私だけじゃなく、もっといろいろな親の立場にいる人が持てたら、学校と家庭の関係性も変わるかもしれないと思うんですよね。

先生の経験はないけれど、親の視点を持つ私だからこそ、汲み上げられる話や要素なんかがあるんじゃないか。そんな思いで、発信するコンテンツを通して学校と保護者を結ぶ架け橋を作っていけたらいいなと思っています。

最後に、未来の子どもたちにつないでいきたいことを教えてください。

今も未来も、子どもたちには自信を持って自分のことを好きでいてほしいし、自分が思うままに、思いっきり挑戦することを楽しめる日々の中にいてほしいと思っています。そう考えるとやっぱり社名の通り、“思わずスマイルになっちゃうような社会”のバトンをパスしたいですね。

そのためにも、大人側がそんな“今”を作っていかないといけないな、という意識で動いているのが私たちスマイルバトンです。「自由に羽ばたける環境を作るから、何も諦めず、そのまま真っ直ぐに生きていってね」。未来を生きる子どもたちに、そう伝えたいですね。